フォト
無料ブログはココログ

« 理科の指導案・プロはどこが違うか(相沢陽一)「授業研究」1987.11No.317 | トップページ | 単元名 空気と水の性質を調べよう »

2013年2月 9日 (土)

小学校高学年 ロケット教室 授業案

                                                    指導講師 佐藤 吉男
                                                        講師 〇〇 〇〇

1.日時   月   日
2.小学校高学年 20名
3.題材 フィルムケースロケット、水ロケット
4.題材目標
(1)フィルムケースロケットを飛ばし、力の働きについて関心を持つとともに、ロケットの 飛ぶ仕組みと他の現象について力の働きの点から考察しようとする。
(2)様々な条件での実験、様々な視点からの観察を通し、フィルムケースロケットの飛ぶ仕組みにつ いて理論的、実証的な考察をすることができる。
(3)フィルムケースロケットを飛ばす際の条件を変えて実験をすることにより、創意ある実 験とその発表を行うことができる。
(4)力の作用・反作用の関係を理解し、フィルムケースロケットの飛ぶ仕組み、および作用・反作用 の力が関係する他の現象について説明することができる。

3.題材観

 フィルムケースに1㎤ほどの発泡入浴剤と水を仕込みキャップをして地面に設置する。すると二、三十秒後にフィルムケースが3mほどの高さまで勢いよく飛び上がるのだ。
このフィルムケースを用いたロケット(フィルムケースロケット)は、発泡入浴剤の反応という身近な化学反応を利用している。
 普段私たちは発泡入浴剤が湯船に溶ける様子を何気なく観察していることだろう。しかし発泡入浴剤が水と反応して生じる気体の量は、見かけをはるかに超える量である。一般に多く見られる、5Cm四方で厚さが2㎝弱の発泡入浴剤の錠剤1つ(40 g)が湯に溶けてすべて反応した場合、どれだけの量の気体が生じるのだろうか。風呂に入った際、湯船にペットボトルを沈め、そこに漏斗を用いて発泡入浴剤から生じた気体を集めたところ、Iℓ入りのボトルでちょうど3杯の量の気体が集まった。発生した気体の量は常温、常圧で3ℓにも及んだ。約30㎤の発泡入浴剤から3ℓ近くの気体が生じるので、発砲入浴剤ロケットの1回の打ち上げに発泡入浴剤をl ㎤用いるとしてそれがすべて反応した場合、100 mℓ 近くの気体が生じるといえる。フィルムケース1イ固の容積が約30mℓであるので、発泡入浴剤の反応によって生じる気体の量は、入浴剤の見かけの体積に比べてずいぷんと大きなことがわかるだろう。
 入浴剤ロケットは一見、フィルムケースに発泡入浴剤と水を仕掛けただけの単純なロケットである。しかし実際は奥の深いロケットである。例えばフィルムケースに発泡入浴剤を仕込むときの水の量と飛距離の関係は興味深い。フィルムケースに仕込む水の量を一定にしてフィルムケースに仕掛ける発泡入浴剤の量を増やせば当然フィルムケースロケットの飛距離は伸びるが、発泡入浴剤の量を一定にしてケースに加える水の量を変化させた場合、ロケットの飛距離は単純には決まらない。水の量が少なければロケットの飛距離は伸びず、逆に水の量が多すぎてもフィルムケースの飛距離は伸びない。発泡入浴剤と水との適切な加減が必要となる。
 さらに、フィルムケース内に仕込む入浴剤と水の反応についても興味深いことが得られる。フィルムケースに仕込む発泡入浴剤と水の量が一定の場合、仕込む水の温度が高いほど発泡入浴剤と水の仕込みからロケットの打ち上げまでの時間は短くなる。また、仕込む発泡入浴剤と水の量が一定の場合、発泡入浴剤を塊の状態で仕込んだ場合に比べ、砕いた粉の状態で仕込んだ場合の方が発泡入浴剤と水の仕込みからロケットの打ち上げまでの時間は短くなる。
 発泡入浴剤は水の中でどのような反応をするのだろうか。発泡入浴剤を水に入れたときに生じた気体を石灰水に通したところ、石灰水が白濁した。発泡入浴剤を水に入れて生じた気体は二酸化炭素であると確認できた。入浴剤には主な成分として炭酸水素ナトリウム(NaHC0₃フマル酸(HOOCHC=CHCOOH)が含まれている。炭酸水素ナトリウムは膨らし粉として使われるベーキングパウダーあるいは掃除に使われる重曹の成分と同じ成分であり、食品にはラムネにも使われている。発泡入浴剤が水と触れると泡を生じるのは、水中で炭酸水素ナトリウムがフマル酸と反応して二酸化炭素が生じるためである。その反応は次の式で表される。
NaHC0₃十H→Na十H₂0十C0₂↑
発泡入浴剤が固形の状態では炭酸水素ナトリウムとフマル酸の反応は起こらない。発泡入浴剤が水に溶解すると、溶液中で固形のフマル酸から水素イオンの解離が起こる。この水素イオンが炭酸水素ナトリウムと反応することにより、二酸化炭素が生じる。
 フィルムケースが飛ぶのは、フィルムケースから押し出される溶液とフィルムケースの間に作用・反作用の力が生じることによる。フィルムケース内で二酸化炭素が発生することにより、ケース内部の圧力が高まると、フィルムケース内の溶液がフィルムケースの外側に対してキャップを押す力、つまり「作用」Iの力が生じる。それに対し、フィルムケースのキャッブからは、フィルムケース内の溶液、気体に対して押し返す力、つまり「反作用」の力が生じる。(図1)ロケットはこの
Ansayou



 

作用の力、反作用の力は互いに逆向きであり、力の大きさは等しい。フィルムケース内の溶液とフィルムケースの間で生じる作用・反作用の力は互いに逆向きであり大きさは等しいので、フィルムケース内の圧力が高まっても、溶液がフィルムケースを押す力(作用の力)とフィルムケースが溶液を押し返す力(反作用)の間で力の釣り合いが生じてフィルムケースは静止し続けるように見える。しかしここで重要なことは、作用・反作用の力は2つの物体に対して別々に働くということであり、力の釣り合いとは異なることである。
 力の釣り合いは、1つの物体に対して大きさが等しく向きが反対の2つの力が働くことによる。綱引きの綱に注目すると理解しやすいだろう。綱引きでは1つの物体つまり綱に対して2方向に力が働く。綱の両側を互いに(b)同じ力で引き合えば、綱には力の釣り合いが生じるので綱は動かない。一方、作用・反作用の力の場合、2つの物体に対して互いに別の力が働く。作用・反作用については泳ぐときのことを思い浮かべるとわかりやすい。水中で水をかけば、水をかいた方向と反対方向に体が動く。自分の体が水を押せば、水に対して作用の力が働く。一方、水が自分の体を押し返せば、自分の体に対して反作用の力が働く。この際の作用・反作用の力は、それぞれ「水」と「自分の体」という2つの異なる物体に対して働く。この点が力の釣り合いの場合とは異なる。
 1つの物体に対し、大きさが等しく向きが反対の2つの力が働けば力の釣り合いが生じる。その場合、それらの2つの力は互いに打ち消しあう。一方、作用・反作用の力は、作用が及ぶ物体と、反作用が及ぶ物体の2者に対してそれぞれに対して別々に生じる。作用・反作用の力は、対になる2つの物体に対して個々に働く力であり、作用と反作用の力が互いに打ち消されることはないのだ。 子どもたちは、単純な作りでありながら奥の深いフィルムケースロケットの打ち上げを楽しんで取り組むことができるだろう。そしてロケットの飛ぶ仕組みを考えることを通して、力の概念について理解して行くことだろう。運動とエネルギーの分野で扱われる力、運動、エネルギーなどは形を持ったものではなく、それ自体を実際に日で確認することはできない。力の概念は抽象的なことであり理解しにくいことではあるが、物理分野での力学の基礎となる重要な概念である。フィルムケースロケットの打ち上げを通し、実感を伴いながらその概念の一つを学ぶことのできるところがこの題材の面白い点であろう。
 フィルムケースロケットの打ち上げを通して力の作用・反作用を学ぶことにより、子どもたちはさらに「水が多すぎても少なすぎても飛距離が伸びないのはなぜだろう」といった新たな疑問についての追究、解明につなげることができる。目に見えない力の世界をフィルムケースロケットの発射という実感のあるものでとらえ、さらに掘り下げて行くことができる。
 子どもたちが身近な現象についての仕組みを力の観点から考えることのできるよう働きかけをし、力の概念を導入して現象を理解することの面白さを子供だちと感じ取って行きたい。

4.講習の指導計画
1校時目
講師自己紹介 5分(2名)
受講生自己紹介 20分(20名))
フィルムケースロケットを打ち上げよう 20分

10分間休憩

2校時目
ロケットの飛ぶ仕組みを力の面から明らかにしよう 10分
ロケットの飛ぶ仕組みを考え、力の作用・反作用について理解する 25分
次の水ロケットの打ち上げの手順、注意事項などを聞く 10分

10分間休憩(グランドへ移動を含む))

3校時目
 水ロケット飛ばし高度を競う 一人2回 20分
 水ロケットの仕組みからロケットの原理を考える 15分
 まとめ 10分

1.本講座の指導
(2)1校時目の目標
    講師の自己紹介と内容を真剣に聞く。
    自己紹介によって自分のことを自覚する
    安全なフィルムケースロケット発射実験ができる。

(3)2校時の目標と授業案

「firumuroketo.pdf」をダウンロード

« 理科の指導案・プロはどこが違うか(相沢陽一)「授業研究」1987.11No.317 | トップページ | 単元名 空気と水の性質を調べよう »

フィルムケースロケット」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 小学校高学年 ロケット教室 授業案:

« 理科の指導案・プロはどこが違うか(相沢陽一)「授業研究」1987.11No.317 | トップページ | 単元名 空気と水の性質を調べよう »

2019年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31