実践例-4年- 単元名 空気と水の性質を調べよう 水ロケット
実践例-4年-
単元名 空気と水の性質を調べよう
水ロケットが飛ぶ仕組みを追究することを通して 圧された空気や水の性質についての見方や考え方を構築していく営み
2 本単元における知識創造
本単元では閉じこめられた空気や水に力を加え、その時の手応えやかさの変化を調
べる。その過程において、空気には、圧し縮められてかさが小さくなると、圧し返す
力が大きくなるという性質があることや水には圧し縮められない性質があることをと
らえ、この二つの性質についての見方や考え方を構築していくことがねらいである。
子どものもつ空気や水に関する知識は、見えないや透明などの視覚に基づく知識で、
柔らかいや硬いなどの体感に基づくものではないため、漠然としており、性質のほん
の一部でしかない。
このような子どもであるため、全員が同じものに触れて体感する必要がある。まず、
ビニル袋に空気を閉じ込め、見たり触ったり力を加えたりする活動を通して、子ども
は硬い、撥ねかえす、縮むなどの空気の新たな性質を理解することになるだろう。 し
かし、この活動で理解した性質では、やわらかい袋を使っているため、空気の収縮性
という性質の理解には至らない。
そこで、水ロケットの飛ぶ仕組みを追究する場を設定する。 この追究の場でモデル図を使うことにより、子どもは、空気は縮むことができるが水は縮むことができないという仮説をもつ。 この仮説の検証実験を行うことで、空気は縮むことができるが水は縮むことができないという、空気や水の性質についての見方や考え方を構築する。 この見方や考え方をもとに、モデル図を使って友達と飛ぶ仕組みを説明し合い、共有することで、空気や水の性質について、より客観的な見方や考え方が再構できると考える。
そして、身に付いた空気や水の性質についての見方や考え方を日常生活に活かすと
ともに、空気鉄砲が飛ぶ仕組みやボールがはねる理由を説明することで、より深い理
解に至ると思われる。
3 本単元における「プロセスの自覚」を促す・活かすために
(1)本単元における「よさ」
本単元における知識創造のプロセスの「よさ」は二つある。一つは、子どもが空気
や水の性質について、自分の見方や考え方をモデル図に表すことである。もう一つは、
そのモデル図を使って、友達と説明し合うことで、空気や水の性質についてより客観
的な見方や考え方を構築することである。
(2)「よさ」の共有のための手だて
①可視化
水ロケットが飛ぶ仕組みについてモデル図に表すことを、本単元におけ
る可視化と考える。子どもが自分の考えをモデル図に表す場面は、仕組みを仮説する
場面と空気や水の性質を理解した上で考察する場面の二つを設定する。
空気や水のような見えないものをモデル図で見えるように表すことで、思考が整理
され、時間的、空間的な変化の説明が、容易になると考えられる。
本単元ではワークシートを使い、時間的な変化について飛ぶ前・空気を入れた時・
発射した時の三段階に分けてモデル図をかかせたい。そうすることで空間的な変化を
主眼において、空気の収縮や圧し返す様子、水の収縮しない様子などの自分の見方や考え方を空気モデルや水モデルの変化で、表すことができると思われる。
また、モデル図を使うことで、仮説場面と考察場面で自分の考えを比べることがで
きる。そうすることで、圧せられた空気や水の性質における見方や考え方の変容が明
らかになり、より客観的なものとして構築できたことが分かると考える。
②「かかわり」
仮説と考察の二つの「かかわり」の場面において、三つの手だてを用いる。一つは、
モデル図を使って、グループ内で飛ぶ仕組みを説明したり質問したりすることである。
このことから、自分の考えとの共通点や相違点を見い出すことができると思われる。しかし、グループ内での|かかわり」では、見方や考え方のよさまでは、なかなか気
づかない。そこで、二つ目の手だてとして、モデル図に表れている見方や考え方の違
う子どもに、全体の場で説明する時間を設けることである。また、三つ目の手だてと
して、その時間に、教師が子どもの考えに対して、共通点や相違点を明確にしたり、
見方や考え方のよさを取り上げたりすることで、評価・価値付けを行うことである。
その上でもう一度自分の考えを見直すことにより、空気や水の性質についての見方や
考え方が、より客観的なものとして構築していくと考える。
③実践的自覚へのデザイン
本単元では水ロケットの飛ぶ仕組みを考える二つの場面で、モデル図をかかせるが、それ以外検証実験の場面でもモデル図を利用していく。その場面では、フォーマットのあるワークシートは使わず、ノートにモデル図をかかせることで、グループでの話し合いや全体での発表に役立てていきたい。モデル図を繰り返しかくことで、子どもは後半の単元である『水の3つのすがた』や『もののかさと温度』においても、モデル図を自然にかけるようになる。そして、ものの性質について、より客観的な見方や考え方が構築できると考える。 さらに、4年生でモデル図の基礎を習得することで5年生の『もののとけかた』や6年生の『水溶液の性質』において量的変化や化学変化の理解につながっていくだろう。
また、空気鉄砲やボールなどの日常にあるものにも、モデル図を活用して表すこと
を行っていきたい。そうすることで、日常生活における空気や水の性質を使った道具
に興味をもって、考えをめぐらせる姿が見られると考える。そして、以後の単元にお
いても、得た知識を日常生活と結びつけて活用することを行っていく。
学習指導案